210426 走馬灯、劇を見に行く日

とことん纏めるスキルがないから、PVをぼんやり眺めているといつも感心してしまう。文も話も「丁寧に、細かく」と思ってしまうと途端に冗長になる。すっきりとした言い回しでも分かりやすく描ける人は本当に凄い。要素を凝縮する才能とでもいうのだろうか、そういった物に憧れる。

死ぬ前に本当に走馬灯を見るのだと言うのならば、多分それの作成者も大層その才に恵まれているんだろうな。生涯がどれほどの長さであろうと、きっと難しいことだから。先日好きなアプリゲームの生放送で流れた記念PVを見ながら「走馬灯に似てる」と思って、その日からたまにそれについて考えている。

 

劇を見に行く日は、服を丁寧に選ぶ。化粧の色を丹念に選んで観劇前に何を食べるか考えて。流石に今の情勢だとあっちこっちに行く訳にも行かないから、慎重に寄る場所も選んではいる。劇であっても映画であっても、九割はひとりで見に行くから自分のペースである程度は決められる。

週のほとんどを在宅仕事のために家で過ごしている身としては、一際大切な外出機会になっていた。観劇がインドアな趣味かアウトドアな趣味とはイマイチ微妙だけれど、他が全てインドアである私にとってはある程度アウトドアだ。

楽しんで、見て、笑って、考えて。一回の観劇で得られる感情は数え切れない。考察は好きではない、と言うよりは、苦手なので、その瞬間に感じ取れるものを全部大切にする。生きている人が好きな作品を演じてくれる、誰かの解釈でまた新しく作品が広がる、その瞬間を見るのはやっぱり劇場が良い。

 

先日、緊急事態宣言を受けて公演が中止、大楽のみ配信の可能性ありという内容のツイートを、推しがリツイートして謝っていた。不意に昨年の春、推しが1ステージ目が大楽になってしまった劇を経験したことを思い出す。観に行く立場よりも、実際に演じている演者さんや懸命に劇を作っているスタッフさんたちの方が余程辛く苦しいことはよく分かってはいるけれど、ばたばたと公演が無くなっていくこの情勢は、やるせない。様々な対策を練ってくださっている劇や劇場を沢山見た、お客さんもほとんどがそれに協力していた。

 

見に行ける状況になったら、また目いっぱい観劇をしよう。